アパート・マンション経営入門 賃貸物件の建物構造別の特徴を解説

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出典元:photo AC

前回の記事では、アパート・マンションにはどのような種類の建物があるのかについて解説いたしました。

今回は、建物の構造の種類と、それぞれの特徴について解説して参りたいと思います。

1.建物の構造について

アパート・マンションのほとんどの建築物は、以下に挙げるタイプの構造により造られています。

  • 木造
  • 軽量鉄骨造
  • 重量鉄骨造
  • 鉄筋コンクリート造

これらの構造タイプを建築コストや性能に細分化して、それぞれの建物の長所と短所を比較してみます。

1-1.建築コスト

建築コストは、 木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造 の順に高くなります。

価格の差は、主に「構造部材」と「基礎の大きさ」による違いです。

重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造のような重たい建物ほど、支える基礎も大きくなるので、その分、金額が上がります。

また、鉄筋コンクリート造は、鉄筋を配筋して、型枠を組み立てコンクリートを打設し、養生したのちに脱型するという工程を各階層ごとに行うので、手間もかかりますし、工期もかかるので、金額は高くなります。

さらに、鉄の値段が不定期に上がってきており、軽量鉄骨造や重量鉄骨造の柱、梁、間柱、ブレース等の部材や鉄筋コンクリート造の鉄筋の金額も引き上げられてしまいます。

一方で、木造は金額もそれほど高価でなく、部材が高騰することもあまりなかったのですが、今年の春に「ウッドショック」が発生し、木材が手に入らず奪い合いとなり、その結果、価格が高騰してしまいました。

ただし、大変苦戦している業者もあれば、それまでの発注実績からなんとか流通経路を確保して、金額も微増で抑えられている業者もあるので、木造のアパートや戸建賃貸住宅を検討する場合は、ウッドショックへの対応ができているかを確認すべきだと思います。

1-2.耐震性

耐震性については、現在の建築基準法における耐震基準では、震度6強~7に達する程度の大規模地震でも倒壊・崩壊するおそれのない建築物とすることを定めています。

よって、耐震基準通りの設計と施工をしていれば、木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造のどの構造においても大きな差はありません。

しかしながら、地震に対する建物の揺れ方や耐え方に違いはあります。

地震エネルギーは、建物の重量に比例するので、重量がある建物になればなるほど、地震によって大きく揺れることになります。

建物自体の自重は、木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造 の順に重くなります。

「木造」の場合、鉄骨造や鉄筋コンクリート造より重量が軽いので、地震に対する揺れは最も小さくなります。

ただし、外壁材や屋根葺き材に重たいものを乗せてしまっては、揺れも大きくなってしまうので、仕上げ材の選定は地震に対する揺れを考慮するといいでしょう。

「軽量鉄骨造」は軽量の鋼材が使われており、鋼材の「粘り」によって地震に耐える構造です。

地震の際には、その「粘り」によってしなり、変形することで地震エネルギーを吸収します。

このため、倒壊しにくく、また倒壊するとしても倒壊するまでには時間がかかると言えます。

しかしながら、小さい地震には揺れを感じやすい面があります。

「重量鉄骨造」は、建物に重量があるため地震に対する揺れは大きくなりますが、軽量鉄骨造と同様に鋼材の「粘り」によって地震に耐えるので、耐久性や耐震性に優れます。

しかしながら、鋼材の重量が重いので、地盤が軟弱である場合、そのままでは建てることができません。

柱状改良や杭地業等の「地盤補強工事」をする必要があります。

「鉄筋コンクリート造」は、建物に重量があるため地震に対する揺れは大きくなりますが、他の構造と比べて倒壊及び崩壊しにくい構造です。

建物の倒壊、崩壊を考えるなら、「鉄筋コンクリート造」は大変、耐震性に優れた構造と言えます。

しかしながら、重量鉄骨造と同様に重量が重いので、地盤が軟弱である場合は、「地盤補強工事」をする必要があります。

1-3.耐火性

耐火性は、建物自体が耐火建築物である「鉄筋コンクリート造」が優れています。

「鉄筋コンクリート造」は材質そのものが燃えることはなく、火災で温度が1000度に達して2時間さらされても、コンクリートの強度は変わらないと言われています。

「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」は、火災から建物を守るために、耐火性・断熱性の高い材料で鉄骨造の骨組み(梁・柱)を 被覆します。

これを「耐火被覆」と呼びます。

ただし、火災により温度が上昇すると鉄骨の強度が低下し、500度を超えてくると鋼材が変形し始め、約900度で一気に倒壊してしまう危険性があります。

「木造」は、約260℃で発火を始め、1000℃に達するまでに崩壊してしまいます。

1-4.断熱性

断熱材を何も入れないで構造だけで比較すると、鉄骨造(軽量・重量) < 鉄筋コンクリート造 < 木造 の順に断熱性が高くなります。

断熱性については、構造に使われている骨組みの「熱伝導率」が関係しています。

鉄骨造の鋼材の熱伝導率は、木材(杉・檜)の約440倍で、夏は柱や梁から熱を室内に通しやすく、逆に冬は室内の温めた空気を外に逃がしやすいので、「夏は暑く、冬は寒い」構造と言われています。

コンクリートの熱伝導率は、木材(杉・檜)の約13倍で、鉄骨造と比べると熱を通さないので断熱性は良いのですが、コンクリートは熱を物質内に蓄える「蓄熱性」が高い素材なので、一度熱がコンクリート内に蓄熱すると、コンクリートから放射された熱によってずっと室内が暖まるのです。

つまり、鉄筋コンクリート造には、「温まりにくく冷めにくい」という特性があります。

木造の木材は、トップレベルの断熱物質である「空気」を多く含んだ素材であるため、熱伝導率は低く、外気の影響を受けにくいので、夏は涼しく、冬は暖かく快適な室温が保たれます。

断熱性が良い木造住宅で、寒く感じることがあるのは、サッシ枠の隙間から入ってくる隙間風や窓から入ってくる冷気が原因である場合が多いでしょう。

1-5.遮音性

遮音性は、木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造 の順に高くなります。

「ドスン」「ガタン」といった重たい音には、面密度(1㎡あたりの質量)が大きければ大きいほど、音をはね返す力は強くなります。

つまり、遮音する面積に多くの質量があれば遮音効果が出やすいのです。

その点、コンクリートのような重量がある素材は重たい音に対しては遮音性が高くなります。

また、鉄筋コンクリート造は剛性が高い構造なので、振動に対しても強く、重たい衝撃音(重量床衝撃音)に対して遮音性がある構造と言えます。

一方で、スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するような軽くて高音域の音に(軽量衝撃音)には、面密度や剛性はほとんど問題になりません。

問題なのは、仕上げ材です。

従って、衝撃吸収性の高い仕上げ材を使うことが必要です。

具体的には、床にマットやカーペットなどの柔らかい緩衝材を敷いたり、ロックウールやグラスウールなどの吸音効果のあるものを施工するのが有効です。

重量鉄骨造も、剛性が高く、振動に強い構造であり、床にデッキプレートを設けてコンクリートを打設することで、床の面密度を上げることができます。

よって、鉄筋コンクリート造ほどではないものの、床の面密度を上げることにより、上下階の重たい音を軽減することはできます。

しかしながら、壁にはコンクリートを使っていないので、コンクリートを使用した鉄筋コンクリート造の外壁の遮音性には敵いません。

軽量鉄骨造は、重量鉄骨造ほどの剛性がないのと、重量鉄骨造に使われている柱ほど太くなく、その分壁も薄いので、遮音性は重量鉄骨造より劣ります。

また、ALCパネルのような軽いコンクリートパネルでないと床面には施工できないので、上下階の遮音性はあまり期待できません。

木造は軽量鉄骨より振動が伝わりやすく、遮音性は最も低い構造です。

1-6.間取りの自由性

間取りの自由性は、木造 < 軽量鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造 < 重量鉄骨造 の順に高くなります。

木造の場合、軸組工法(在来工法)と枠組壁工法(ツーバイフォー工法)で間取りの自由性は異なります。

軸組工法は、柱と梁、耐力壁で支える工法のことで、壁を抜いたり移動させたりということが比較的自由です。

一方で、枠組壁工法は、壁が建物を支える構造材として機能しており、軸組工法よりも壁量が必要となるため、窓などの開口部の設置や間取りに制限がかかり、間取りの自由度は下がります。

鉄骨造の建物の主要部分は頑丈な鉄骨で造られています。

そのため、木造住宅と比べて少ない柱や壁で住宅を構成することが可能となり、柱がない大空間を作るのにも適しています。

軽量鉄骨造の建物は、壁に補強材のブレース(筋交い)が入っていて、重量鉄骨造よりも柱の本数が多いこともあり、重量鉄骨造より間取り変更の自由度は低めです。

重量鉄骨造は、ブレースがないので、軽量鉄骨造より間取りの自由度が高くなります。

また、重量鉄骨造は強度が高いので、広いリビングや吹き抜け、大きな窓などをつくり、開放感のある間取りが実現可能です。

鉄筋コンクリート造は、強度が高く耐久性が高いため、重量鉄骨造と同様にリビングやダイニングを大空間にすることや、開口部を多く設けることも比較的、自由にできます。

また、コンクリートを型枠に流し込んで固める工法なので、楕円や円、曲線を作ることもでき、設計の自由度が高いのが特徴です。

ただし、鉄筋コンクリート造は重たい構造なので、鉄骨造ほど大スパンを作ることはできません。

その点において、重量鉄骨造が間取りの自由性においては一番高いと言えるでしょう。

2.賃貸物件の建物構造選びのポイント

建物構造の長所と短所を知ることは、賃貸物件を新築した後の「事業性」の検討にも大いに役立ちます。

賃貸アパート・マンション経営は、単純に考えれば、「少ない投資で大きな収入を長期間安定して得ること」が成功に繋がります。

成功の基準は人それぞれだと思いますが、利回りが高い物件ほど「高利回り物件」として、将来的には売ることだってできますし、なにより安定して高収入が得られるほど、生活にゆとりをもたらしてくれます。

しかしながら、アパート・マンションを建設する予定地が駅から遠く、不便なところにあったり、不人気なエリアに建てても、入居者が入らなければ、収入も入ってきません。

以上のことから、建物構造を選ぶポイントとしては、「短期で経営するのか」或いは「長期で経営するのか」の目的により、選ぶ構造は変わるということです。

短期間で経営して高い家賃で収入を得て、家賃が下落する前に売却したり、修繕にあまり費用をかけたくないから20年位経営したら取り壊して事業転換する等のような「短期的」な経営をするのであれば、木造が適しています。

木造住宅は、法定耐用年数が22年で、22年間は毎年減価償却資産として計上できるので、設備の減価償却(15年間)と合わせて耐用年数の間は所得税、住民税の節税にもなりますし、短期的な経営には向いています。

一方で、長期間に渡って経営して、安定した収入を得ようとするなら、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造が適しています。

重量鉄骨造の住宅の法定耐用年数は34年で、鉄筋コンクリート造は47年なので、長期に渡ってゆったりと減価償却をしていくので、逆に言えば短期で取り壊したり、売却してしまうと初期投資に見合った分の収入を回収できず、何のために重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物を建てたのか分からなくなってしまいます。

重量鉄骨造も鉄筋コンクリート造も建物の強度や耐久性が高く、デザイン性があって入居者ニーズを満たす間取りを設ければ、長期間運営できる建物構造です。

資産価値としても高いので、融資を利用して建物を建てれば、相続対策にもなります。

軽量鉄骨造は、木造と比較すると断熱性や耐火性は劣りますし、遮音性、耐震性はほぼ同等、コストは高いので、プランによっては軽量でなくても木造で十分な場合があります。

よって、軽量鉄骨造を選ぶ場合は、「軽量鉄骨造ならではのメリット」を最大限に生かせるプラン作りをすることがポイントです。

例えば、3階建て12戸の広々とした間取りのマンションを建てるとして、「木造ではできない大スパンの空間」、「重量鉄骨造よりコストを下げれる」「軟弱地盤でも重量の軽さにより、基礎や地盤改良にかかる費用を抑える」のように、軽量鉄骨造のいいとこ取りができるようにプランするといいと思います。

また、防火地域や準防火地域にも指定されてなければ、費用が増大する耐火建築物を選ぶより、軽量鉄骨造のような耐震性にも優れている建物の方が良い場合もあります。

どのような構造の建物を建てるのかについては、地域性や人気エリア等いろいろな要因が関わってくるので、まずは専門業者様に相談するといいでしょう。

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